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星が遠すぎるので星に帰ろう

No.12 - 2009/12/27
第九回雑文祭


 星は数億光年のかなたにあって、いま見ている光は数億年前に発せられたものなんだなあ、というふうに星空を眺めながら考えることはわりとありがちである。しかし、そんな何億光年だの何パーセクだのと言われたところでよくわからない。ぼくが認知できる長さの単位はキロメートルまでである。グーグルに1億光年の長さを問えば9.5×10^20kmと答えてくれるけれど、指数表示なんかされたらよけいに認知できない。星は、宇宙は、遠い。
 しかし、やはり広大な宇宙に思いをはせるのは楽しいことであって、やがて「宇宙のことをもっと知りたい!」と思うようになる。その欲望を我慢できなかったので、さっそく図書館へおもむき、評価が高いという宇宙物理学の本をぼくは開く。すると紙面にはTeXで組まれたと思しき数式がずらずらと並んでいて、3秒後にはその本を閉じている。その行為を5回ほど繰り返したのは、先月のことである。そんな高度なこと、とうていこの手の届く距離にはなかったのだ。
 地球外に浮かぶ星はもちろん、地球内の本すら手が届かないものであるならば、ぼくはどこで宇宙に触れられるのだろうか。そういえば、中学生のときクラスに土星人がいたなあ、ということを思い出す。当時、クラスのだれひとりとしてその人が土星人であるということを認めていなかったけど、逆に考えれば、土星人じゃないという証拠もなかったのだ。あのときぼくは宇宙がたしかに手の届く距離にあったのかもしれない。その人は、もしかしたらいまごろ土星に帰郷しているのだろうか。そうであるならば、またもや宇宙や星に触れる機会を失ったのか。
 宇宙の何もかもが遠すぎる。もういやになった。ぼくも帰ろう。どこへ? すべてが手に届く、平和なところへ。犬も猫も兎も鳥も、馬も牛もホモ・サピエンスもみんな手をつなぎ合う仲良しのところ。その名は、こりん星。


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