筆圧

No.3 - //


 ぼくは身体は弱いのだが筆圧だけは異様に強い。果たして何本のシャープペンシルの芯を折ったのだろうか。果たして下敷きに何本の傷を刻んだのだろうか。
 それじゃあ筆圧を弱くすればいいじゃないか、というような話になる。だけど話はそう簡単にはいかない。これまで筆圧の強い状態で文字を書き続けてきたから、筆圧を弱めて書くとうまく字が書けないのだ。
 そこで、ぼくは硬くて強いシャープペンシルの芯を求める。そこで真っ先に思い浮かぶのが、6Hやらといった硬度の芯である。しかしこのようなシャーペンの芯は一般には売っていないし、たとえ売っていたとしても薄すぎて実用には向かないと思うのである。じつにわがままだが、ぼくはHBの硬度で強い芯を求めているのである。
 そこで目にとまったのが三菱鉛筆製の「Hi-Uni」という製品だ。とにかく強いことが売りらしい。本数のわりに高かったが、ぼくは購入した。家に帰ってシャーペンに入れる。書く。書く。数分後に折れる。だめだ!
 後日、目にとまったのが三菱鉛筆製の「Hi-Uni ナノダイヤ」とかいう製品だ。べつにぼくは三菱のまわし者というわけではない。この製品は芯の中に地球上で最も硬い物質のひとつのダイヤが織り込まれている。本数のわりに高かったが、ぼくは購入した。家に帰って入れる。書く。書く。数分後に折れる。だめだ! ダイヤでもだめなのか!
 そうして今に至る。いまのところぼくの筆圧に勝てるシャーペンの芯は現れていない。「象が踏んでも大丈夫!」とかいう芯は出てくれないだろうか。どうかお願いします、三菱さん。


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